良工まずその刀を利くし、能書は必ず好筆を用う

2022年1月4日

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「弘法筆を選ばず」とは、名人や達人と呼ばれる人は、道具や材料の良し悪しなどは問題にせず、どんな道具でも見事に使いこなすという意味のことわざです。実際に弘法大師自身は書の道具についてどのように考えていたのでしょうか?弘法大師(空海)は、『性霊集』という漢詩文集に次の言葉を残しています。「良工まずその刀を利くし、能書は必ず好筆を用う」「腕のある良い職人はまず何よりも先に道具を研ぎ、優れた書家は必ず良い筆を使用する」という意味です。弘法大師本人は「弘法筆を選ばず」とは逆の考えだったことがわかります。

さて私は、子どもの頃習い始めから1/2サイズまでは学習用バイオリンを使用しましたが、3/4サイズからは手工芸バイオリンを使いました。大人になりバイオリンで仕事をするにあたり、量産バイオリンも必要な場面があり所有してはいますが、とても弾き難さを感じます。それでも弾くからには弾きます。特にポジション移動が足(手ですが)を取られる感じです。手工芸バイオリンですと持った時に手にしっくりきてポジション移動もスムーズに動けるのです。素晴らしい道具は、何かしら苦労させられるところを軽減する工夫が、最初から備わっているとは言いますが本当だなと思います。道具が助けてくれることで、自分の能力や技術を発揮することに集中できます。『良い楽器で練習していると技術が育ってきます』技術が無かったら良い楽器を持っても無駄と思いがちですが、初級者こそ手工芸バイオリンで練習して欲しいと思います。豪邸が買えるような値段のストラディヴァリを買いましょうでは、ありませんので悪しからず。

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