バイオリンの日

2021年8月28日

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8月28日は「バイオリンの日」です。
これは、世界的な記念日ではなく、日本だけの記念日です。というのも、この日は、日本産のバイオリン第一号が、完成した日。明治13年、東京・深川の三味線職人・松永定次郎さんという人が、国産バイオリン第一号を、この日に完成させたと言われています。定次郎さんは、誰かに教わるわけでもなく、正教会の大聖堂「ニコライ堂」にあったものを見せてもらい、それをお手本にして、バイオリンをつくりあげたと言います。この頃は馴染みが薄く、まだ「提琴(ていきん)」と呼ばれていました。

そして、国産バイオリンの製作を本格的にスタートさせたのが、名古屋の鈴木政吉さん。この人も、もともとは三味線づくりをしていた人ですが、松永定次郎さんの和製バイオリンと出会って、自らもその製作を始めたそうです。政吉さんは、現在も弦楽器の製造で知られる「鈴木バイオリン」の創業者。日本の音楽文化の発展に力を尽くしたことでも知られています。海外から一流の演奏家が来日した際は、名古屋で演奏会を主催。また、こうした演奏家たちのバイオリンを、調整・修理をしたのも、政吉さんでした。

さて、国産のバイオリンが作られるようになった背景について。明治12年・文部省内に「音楽取調掛」が設立されます。東京芸術大学音楽学部の前身です。ここでバイオリンの才能を開花させたのが、作家、幸田露伴の妹たちです。上の妹・延は、後に、バイオリン教育のパイオニアとなり、下の妹・幸はバイオリニストとして活躍します。この姉妹に続いて、世界レベルのバイオリニストが登場し、それとともに外国製のバイオリンも日本に入ってくるようになります。そして、こうしたなか、国産バイオリン第一号が、誕生しました。

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